自然と生きる農業
あじむ 風と大地の農園 ~生産者さんを訪ねる その12~

2019.12.27

producer_12_5009
producer_12_5230
今回は、ワインの生産やスッポンの養殖で有名な安心院で自然と共生する農業を実践している太田有宣さんを訪ねた。高速からほど近いのに、自然たっぷり、6000坪の雑木林の中に太田さんの農園と自宅がある。
producer_12_5198
producer_12_5205
ここで太田さんは可憐なベビーリーフやエディブルフラワーを作っている。
producer_12_5071
栽培している野菜たちの可憐さとは対照的に、見た目コワモテ(失礼!)の太田さんは、若い頃バイクで日本中を走り回ったという自由人。その時に自然の素晴らしさを実感し、自然に近づきたいと農業を志望する。以来、30年にわたって有機農業を実践してきた。
広い雑木林にある道をエディブルフラワーの栽培所に向かって歩いていると、「あ、そこにマムシがいますね。気をつけて。」と言われた。足先、2、3歩のところにとぐろを巻いたマムシがいた。マムシは地面に同化していて微動だにせず、まったく気づかなかった。太田さんが退治してくださった。
producer_12_5215
そのまま歩いていたら、多分踏んづけてマムシに逆襲されていただろう。自然をなめちゃいけない。
producer_12_4958
「ここには、あらゆる自然の動物が生息しています。イノシシ、モグラは土を掘り返すし、バッタや蛾の幼虫、アリなどに野菜や花を食べられちゃう。マムシやカエル、スズメバチでも人にとっては有用な生きものですが、その彼らも生き残るために毒を進化させている。そんな自然の生命の力強さに底知れない魅力を感じています。自然はすごいものですよ。」
無農薬のエディブルフラワーは、
producer_12_5040
バラ、

producer_12_5024
ベコニア、

producer_12_5052
ナスタチウム、

producer_12_5037
イソトマなど様々。どれも可憐で美しい。成澤シェフはペンタスが好きでよく使ってくれるそうだ。
producer_12_5041
ペンタス

これらの繊細な花やベビーリーフは、九州のシェフたちにも愛されている。
producer_12_4937
雑木林の中には、破れかけたビニールハウスがポツポツと見える。ここで30年間、有機農業で野菜やフルーツを作ってきた。ぶどうを栽培した時は本当にキツかったそうで、栽培は失敗の連続だった。ビニールハウスはその時の遺産だ。この他に小松菜、ターサイ、米、麦、蕎麦、大豆などを栽培したし、鶏や羊、山羊を飼ったこともある。
producer_12_5152
「ありとあらゆるものを作りました。米は品評会で入賞したこともある」
が、米で満足せず、次々にチャレンジしていくのが太田さんらしさ。
これからは独自に開発したエコな無農薬農法を確立して、日本のみならず、海外にも伝えたいという。
「ニューヨークに行って、実践してみたいね(笑)」
と豪快に笑う太田さん。長年農業を続けるわけは?
producer_12_5071
「毎日、畑に出ていても、時々植物の力にびっくりする。日の出の時に、野菜や花たちが光り輝く瞬間があり、それはすごく感動的な美しさなんですよ。その感動を形にしてみなさんに渡したい。自然の一部を切り取って感動を届けたいというのが農業を続ける理由ですね。」
producer_12_5028
動物や植物の力は、人知がおよばないものだ。薬を使わないで、生き物の力を利用して共存していければ、と思っている太田さん。
「おもしろい農業、というのが自分の課題です。自然の細かいところまで観察して技術に落としこむ、これが大事。農業がおもしろければ、若い人たちもやろうって思うんじゃないかな。」
producer_12_5189
自称農業オタクという太田さん、畑が楽しすぎて、独自のエコな技術では負ける気がしないそうだ。常識にとらわれない太田式自然農法をこれから広めていってほしい。
「或る列車」では、太田さんが作ったエディブルフラワーをスィーツの最後の仕上げに一輪添えることが多い。それは太田さんの感動のおすそ分けだ。
producer_12_ewi1

或る列車・36ぷらす3 お問合せ窓口

Tel.092-474-2217

営業時間:9:30〜17:00(火曜日・年末年始休業)