「或る列車」の客室乗務員さんのサービスには定評がある。
その秘密はなんだろう?
2019年10月31日
「或る列車」の客室乗務員さんたちのサービスには定評がある。他社から、しばしば研修に来るほどその評価は高い。その秘密はなんだろう?
改めて、客室乗務員さんにスポットを当てて取材した。
今回は大分〜日田のコースを走る「或る列車」に乗車し、担当の客室乗務員の岡村萌さんからおもてなしされ、インタビューするという取材である。


乗車してみて、これは半分お客さま、半分取材者という「え、いいんですか?お客さまになっちゃって」的ラッキーな取材だと気がつく。話題のサービスを体験し、九州産の美味しいお料理やスィーツを堪能できるのだから当たり前だ。笑
まず、乗車する「或る列車」の乗降口で、客室乗務員さんたちが笑顔でお迎えしてくれる。
「ようこそ、いらっしゃいました。」。きれいなお辞儀で丁寧に挨拶された時点で非日常感満載!すでに気分が上がる。にこやかなお客さまたちに続いて乗車すると座席に案内され、担当の岡村萌さんが挨拶してくれた。

「博多さまの担当をさせていただく岡村です。どうぞよろしくお願いいたします」と自己紹介から始まった。列車はゆったりと走り始める。
続いて岡村さんは車両についてわかりやすく説明する。車両は2両あり、明るい雰囲気の1号車

と半個室で落ち着いた雰囲気の2号車に分かれていること

料理やスィーツは車内のキッチンで仕上げること


化粧室の場所などの案内をしてくれる。今回は、私の座席はシックな2号車である。
こちらはプライベート感があり、相対する2席は個室のように、大川組子の雪見障子で仕切られている。高級感が漂い、椅子も座り心地がいい。
落ち着くと早々に、「旅の始まりのウェルカムドリンクでございます。」とメニューを持ってきてくれた。「何がおすすめですか?」と聞くと「佐賀の完熟みかんジュースは甘みと酸味がのっておすすめです。でも、最初にスパークリングワインという女性のお客様も多いですね。いかがですか?」

そう言われたらお言葉に甘えて「じゃ、この宮崎の都農ワインのスパークリングをお願いします」 取材ということはすでにすっ飛び、お客様モードになっている。取材だと念頭に置いているけど、それを忘れさせるほど接客が上手なのだ。

取材させていただいた岡村萌さんは、2019年7月現在、客室乗務員歴10年のベテランだ。業務内容は、博多ベースが乗務する全D&S列車での仕事(或る列車、ゆふいんの森、SL人吉、A列車で行こう、あそぼーい!)と博多駅総合案内所での案内業務を行っている。客室乗務員の場合は、博多駅から上記の各列車に乗務して、終わったら博多本社に戻るというハードなスケジュールである。

しかし疲れた表情は一切見せず、100%おもてなしの精神で対応しているのは見事としか言いようがない。基本立ちっぱなしで、飲み物、NARISAWA演出のお弁当とスープ、4皿のスウィーツを滞りなくサービスするのだ。飲み物はアルコール、コーヒー、紅茶、ジュース、お茶などすべてフリードリンクなので、あれこれお代わりするお客さまも多い。「或る列車」は海外からのお客様も多いので、英語が堪能な岡村さんは、そういうお客さまにメニューの案内などをし、よりよいサービスに努めているそうである。
岡村さんはお弁当やスィーツをサーブしながら、食材や料理法を一つ一つ丁寧に説明してくれる。
取材は8月で、NARISAWA BENTOのテーマは「灼熱の大地」。九州産牛肉のステーキ丼、大分県 関アジの炙り、ラタトュイユ添え、佐賀県みつせ鶏とゴーヤと自然薯のドレッシング和え。スープのタイトルは「太陽」で大分産トウモロコシのやさしいポタージュ。
毎月内容が変わるから、食材から調理法まで覚えるのは大変でしょう?
「はい、大変ですが、より美味しく味わっていただきたいので一生懸命頭に叩き込みます。笑 客室乗務員は交代で翌月の試作をしているテストキッチンに行き、詳細を聞いて共有し、生産者さんやシェフの想いをお客さまにお伝えしています」
4皿のデザートに関しても、同じ。
最初のカクテルスィーツは「長崎産ブルーベリーと福岡産巨峰のカクテル、カシスの泡」。
これはフレッシュフルーツの美味しさを大切にしたさっぱりした一皿だと説明される。その通り、フルーツを食べているように軽くて、あとに続くスィーツの序章のようなものだった。次は「G20 晩餐会の思い出」熊本産白桃のサバラン。

これは成澤シェフが今年のG20で料理を担当し、その時のデザートを再現したもの。そのことも岡村さんは説明してくれる。「G20で来日した各国首脳や奥様たちと同じデザートを召し上がっていただけます。素敵ですね」と。このスィーツは本当に美味しくて、今まで食べたサバランの最高峰だった。
次に登場したのが、バナナの葉に包まれたメインデザート「白浜」。

岡村さんは「メインデザートは、丸ごと召し上がれるココナッツです」とちょっとユーモアを交えて説明してくれる。ココナッツの殻はチョコレート、長崎産マンゴー、鹿児島県のパッションフルーツ、沖縄産パイナップルのココナッツカップ、月桃の香りといった食材を使っている。ココナッツの中身は、ココナッツのムースにマンゴー、パッションフルーツ、パイナップルを合わせているそうだ。
ここで使われているパッションフルーツは、7月にアップした奄美大島の「きゃしなふ農園」の増さんが作っているものだ。このココナッツのデザートの完成度もすごく高く、見た目はココナッツそのもの。味わいも夏らしく、ため息をついてしまうほど素晴らしかった。
そんなお客さまたちの姿をニコニコしながら見ている岡村さんに聞いてみた。
或る列車に乗車したお客さまで、印象に残っている思い出はありますか?
「はい、創業間もなく、女性とお父様が乗車されました。お母様の写真を持参して・・。何ヶ月か前のご予約で、その間にお母様がご逝去されたとのお話でした。それでは、お母様の分のお飲物もお持ちしますので、と申し上げ、3名様分のお飲物をお持ちしました。3名様でお楽しみください、という気持ちでした。」
その他、目が不自由な方が乗車された際、スィーツの形や色を少しでもわかっていただけるように心を尽くしてお伝えしたこと、などの話を聞いた。
岡村さんや或る列車のスタッフは、一期一会のお客さまに、最大限の気持ちを込めて対応しているのだ。だから、降車した後も、いい思い出が続き、また、戻ってきたいと思うのだ。

サービスって、セオリーだけじゃない、そこに気持ちが込められていないと人は感動しないのだと実感する。ぜひ、或る列車に乗って、それを実感してみてください!


改めて、客室乗務員さんにスポットを当てて取材した。
今回は大分〜日田のコースを走る「或る列車」に乗車し、担当の客室乗務員の岡村萌さんからおもてなしされ、インタビューするという取材である。


乗車してみて、これは半分お客さま、半分取材者という「え、いいんですか?お客さまになっちゃって」的ラッキーな取材だと気がつく。話題のサービスを体験し、九州産の美味しいお料理やスィーツを堪能できるのだから当たり前だ。笑
まず、乗車する「或る列車」の乗降口で、客室乗務員さんたちが笑顔でお迎えしてくれる。

「ようこそ、いらっしゃいました。」。きれいなお辞儀で丁寧に挨拶された時点で非日常感満載!すでに気分が上がる。にこやかなお客さまたちに続いて乗車すると座席に案内され、担当の岡村萌さんが挨拶してくれた。

「博多さまの担当をさせていただく岡村です。どうぞよろしくお願いいたします」と自己紹介から始まった。列車はゆったりと走り始める。
続いて岡村さんは車両についてわかりやすく説明する。車両は2両あり、明るい雰囲気の1号車

と半個室で落ち着いた雰囲気の2号車に分かれていること

料理やスィーツは車内のキッチンで仕上げること


化粧室の場所などの案内をしてくれる。今回は、私の座席はシックな2号車である。

こちらはプライベート感があり、相対する2席は個室のように、大川組子の雪見障子で仕切られている。高級感が漂い、椅子も座り心地がいい。
落ち着くと早々に、「旅の始まりのウェルカムドリンクでございます。」とメニューを持ってきてくれた。「何がおすすめですか?」と聞くと「佐賀の完熟みかんジュースは甘みと酸味がのっておすすめです。でも、最初にスパークリングワインという女性のお客様も多いですね。いかがですか?」

そう言われたらお言葉に甘えて「じゃ、この宮崎の都農ワインのスパークリングをお願いします」 取材ということはすでにすっ飛び、お客様モードになっている。取材だと念頭に置いているけど、それを忘れさせるほど接客が上手なのだ。

取材させていただいた岡村萌さんは、2019年7月現在、客室乗務員歴10年のベテランだ。業務内容は、博多ベースが乗務する全D&S列車での仕事(或る列車、ゆふいんの森、SL人吉、A列車で行こう、あそぼーい!)と博多駅総合案内所での案内業務を行っている。客室乗務員の場合は、博多駅から上記の各列車に乗務して、終わったら博多本社に戻るというハードなスケジュールである。

しかし疲れた表情は一切見せず、100%おもてなしの精神で対応しているのは見事としか言いようがない。基本立ちっぱなしで、飲み物、NARISAWA演出のお弁当とスープ、4皿のスウィーツを滞りなくサービスするのだ。飲み物はアルコール、コーヒー、紅茶、ジュース、お茶などすべてフリードリンクなので、あれこれお代わりするお客さまも多い。「或る列車」は海外からのお客様も多いので、英語が堪能な岡村さんは、そういうお客さまにメニューの案内などをし、よりよいサービスに努めているそうである。

岡村さんはお弁当やスィーツをサーブしながら、食材や料理法を一つ一つ丁寧に説明してくれる。
取材は8月で、NARISAWA BENTOのテーマは「灼熱の大地」。九州産牛肉のステーキ丼、大分県 関アジの炙り、ラタトュイユ添え、佐賀県みつせ鶏とゴーヤと自然薯のドレッシング和え。スープのタイトルは「太陽」で大分産トウモロコシのやさしいポタージュ。

毎月内容が変わるから、食材から調理法まで覚えるのは大変でしょう?
「はい、大変ですが、より美味しく味わっていただきたいので一生懸命頭に叩き込みます。笑 客室乗務員は交代で翌月の試作をしているテストキッチンに行き、詳細を聞いて共有し、生産者さんやシェフの想いをお客さまにお伝えしています」
4皿のデザートに関しても、同じ。
最初のカクテルスィーツは「長崎産ブルーベリーと福岡産巨峰のカクテル、カシスの泡」。

これはフレッシュフルーツの美味しさを大切にしたさっぱりした一皿だと説明される。その通り、フルーツを食べているように軽くて、あとに続くスィーツの序章のようなものだった。次は「G20 晩餐会の思い出」熊本産白桃のサバラン。

これは成澤シェフが今年のG20で料理を担当し、その時のデザートを再現したもの。そのことも岡村さんは説明してくれる。「G20で来日した各国首脳や奥様たちと同じデザートを召し上がっていただけます。素敵ですね」と。このスィーツは本当に美味しくて、今まで食べたサバランの最高峰だった。
次に登場したのが、バナナの葉に包まれたメインデザート「白浜」。

岡村さんは「メインデザートは、丸ごと召し上がれるココナッツです」とちょっとユーモアを交えて説明してくれる。ココナッツの殻はチョコレート、長崎産マンゴー、鹿児島県のパッションフルーツ、沖縄産パイナップルのココナッツカップ、月桃の香りといった食材を使っている。ココナッツの中身は、ココナッツのムースにマンゴー、パッションフルーツ、パイナップルを合わせているそうだ。
ここで使われているパッションフルーツは、7月にアップした奄美大島の「きゃしなふ農園」の増さんが作っているものだ。このココナッツのデザートの完成度もすごく高く、見た目はココナッツそのもの。味わいも夏らしく、ため息をついてしまうほど素晴らしかった。
そんなお客さまたちの姿をニコニコしながら見ている岡村さんに聞いてみた。

或る列車に乗車したお客さまで、印象に残っている思い出はありますか?
「はい、創業間もなく、女性とお父様が乗車されました。お母様の写真を持参して・・。何ヶ月か前のご予約で、その間にお母様がご逝去されたとのお話でした。それでは、お母様の分のお飲物もお持ちしますので、と申し上げ、3名様分のお飲物をお持ちしました。3名様でお楽しみください、という気持ちでした。」
その他、目が不自由な方が乗車された際、スィーツの形や色を少しでもわかっていただけるように心を尽くしてお伝えしたこと、などの話を聞いた。
岡村さんや或る列車のスタッフは、一期一会のお客さまに、最大限の気持ちを込めて対応しているのだ。だから、降車した後も、いい思い出が続き、また、戻ってきたいと思うのだ。

サービスって、セオリーだけじゃない、そこに気持ちが込められていないと人は感動しないのだと実感する。ぜひ、或る列車に乗って、それを実感してみてください!

