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木桶を使った伝統的技法…究極のこだわり醤油を今に

ミツル醤油醸造元(福岡県)

糸島には、昔ながらの醤油醸造に取り組む若手醸造家がいます。シンプルなデザインのボトルに活版印刷のラベルが美しい濃口醤油「生成り、」は、地元糸島産の大豆と小麦を原料に、木桶で2年以上熟成させたもろみを搾り、火入れした純粋無垢な醤油。手がけたのは「ミツル醤油」四代目の城慶典さん。40年に渡り途絶えていた自社での醤油醸造を再開したいと、2010年に現在の醤油作りに踏み出しました。

意外に知られていませんが、大半の醤油屋さんは自社で醤油を作っていません。ベースとなる生醤油を仕入れて、オリジナルの味付けをして火入れ、瓶詰めをするというのが一般的です。本来の「大豆を蒸し、小麦を炒り、麹菌を混ぜて麹を育て、それを塩水を合わせて木桶に仕込み、2年以上発酵・熟成させる」という時間と手間のかかる重要な行程をカットして、「生醤油を仕入れる」というシステムを導入することで、消費者側にはリーズナブルな価格で購入出来るメリットがあったわけですが、「原点回帰して、醸造する醤油屋が今は求められる時代なのではないか」と、城さんは一念発起したのです。

「糸島はいい場所です。まず、地元産で原料の大豆・小麦が揃うというのは、実はかなり稀な事。また、仕込みをやる冬場は気温が低く、もろみが発酵する時期にはしっかり暖かくなります。そんな四季のサイクルが醤油づくりにとてもマッチしているんです。塩は佐賀の自然塩や長崎の並塩といった各地の塩を、桶違いで仕込んでいます。今年仕込んだ塩は沖縄のものです」(城さん)

「生成り、」のボトルには、まるでワインのようにボトル詰めした年数が記されています。年毎の味の違いを楽しめるのも、このブランドならでは。

「醤油を仕込んで2年目に、テレビ収録で糸島にいらしていた成澤シェフと出会いました。食材にこだわる一流の方に認めていただけたのはとても光栄です」(城さん)

NARISAWA”bento”の料理に、それともスイーツに? こだわりの醤油がどのように活かされるのか、乞うご期待です。

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