酸味と甘さの絶妙なバランス。果物本来の魅力に出逢う
小坂農園(大分県)

農園のある敷地のすぐ向こう側には、猿で有名な高崎山。「ミカンがなると、猿が取りに来ちゃうんですよね」と、代表の小坂正則さんは笑います。そんな自然豊かな環境には、5月下旬から6月下旬にかけて、びわがたわわに実ります。びわの産地としては長崎の茂木や千葉の房総も有名ですが、ここ大分・田浦にも共通するのは、海が近く、冬にびわの実が「寒を越す」ときの気温がマイナス4度を下回らないこと。温暖な海風が美味しいびわを育てるカギなのです。
小坂さんのお父様である故・小坂茂さんは「枇杷(びわ)低木栽培」の創始者。農薬を一切使わずにびわを栽培するには大変な手間がかかりますが、低木に改良されたことで袋がけ作業も収穫作業も、ぐんと楽になりました。その茂さんはかねがね「農業は土づくり」と話し、毎年山から切り出した茅などの草を畑いっぱいに敷き詰めて「有機質の土壌づくりが大切だ」と話していたそうです。土の良し悪しを舌で舐めて確認したりと、びわの手入れをする様子はまるで木と会話しているようで、まさに自然と共にある方でした。
「私はその父の育てたびわを守り、自然のままに育てているだけですが、化学的なものを使わずに環境を守る農法は大切にしていきたいと思っています。化学肥料では、微生物が住まないので土が固くなり、健やかな実はならなくなります。そして、最近はやたらと甘い果物がもてはやされていますが、甘くするのはリン酸系の肥料をやれば簡単なんです。そうではなく、自然が育んだ酸味と甘みが相まった本来の味を楽しんでいただければ幸いです」
小坂さんは、自然エネルギーとして再注目されている薪作りも手がけ、園内にはヤギや鶏の姿も。そんなほのぼのとした“楽園”からは、はっさくやいよかん、レモン、梅、よもぎ等も届く予定です。


