食材生産者ご紹介・器紹介・生産者を訪ねる

冷涼な山地で醸されるきれいな菊鹿ワイン
熊本ワインファーム株式会社 ~生産者さんを訪ねる その7~

2019年9月20日

ワイン作りに適した菊鹿町で
醸された珠玉のシャルドネ

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熊本県北部の山鹿市菊鹿町は北に標高1000m級の八方カ岳、相良山、さらに湧水量豊かな美しい矢谷渓谷などの豊かな自然に恵まれた土地。ここで醸されているのが菊鹿ワインだ。producer_07_Chardonnay_01
この地にシャルドネを植えたのは1999年。producer_07_Chardonnay_02
ぶどうを初めて手がける3軒の農家さんが650本ほどの苗木を植えたのがスタートだった。当時は多雨の熊本でワイン用のぶどう栽培はむずかしいと言われていたそうだが、雨よけや水はけをよくするなどの工夫、土壌の改良やぶどうの仕立て方などを試行錯誤しながら独自の栽培方法を見出し、凝縮感のあるぶどうを収穫できるようになった。
現在は約30軒の栽培農家さんが上質なぶどうを作っていて、菊鹿ワインはそれを原料に作られている。

菊鹿ワイン作り

菊鹿シャルドネは伝統と最新技術を融合。「日本で飲もう最高のワイン2018」のプラチナ賞(専門家部門)、シルバー賞(愛好家部門)をW受賞した。
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このワインを作っている熊本ワイン株式会社の方からお話を聞いた。ぶどうの最初の栽培から20年経ち、土壌とワインの相性もよかったので、自社でぶどうの生産と醸造を一緒にすることになったのだそうだ。収穫期には人力で1日14~15トンのぶどうを集荷している。「日本ワイン」だから、すべて国産のぶどうで作っていて、こちらでは現在200トンの醸造が可能。1本750mlとして、17~18万本ものワインを生産している。2016〜2018年は良好なヴィンテージで仕上がっているそうだ。producer_07_0229
作る際のこだわりはナイトハーベスト。ベストのタイミングで収穫することが良いぶどうを得るためにもっとも大事なことで、できるだけ気温が低い夜間にぶどうを収穫するという。

菊鹿シャルドネはふくよかな味わいで美味!

醸造家の西村篤さんはまだ若いけれど、ここで10年ワインの醸造を手がけてきた。菊鹿ワインを作るときに心がけたのは「火の国、熊本といわれているイメージに合わせて南国らしく、ぶどうの果実味が出るように作りました。」とのこと。
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ナイトハーベストで収穫したぶどうをフレンチオークの樽で発酵させ、澱と接触させるシュールリーをし、1年熟成させてから瓶詰め。さらに瓶でも1年熟成させてからリリースするので、3年をかけて丁寧に作られているという。
さっそく試飲させていただく。少し黄味がかった透明な色。香りはふくよかで味わいはボリュームがあり、ほのかにマンゴーやパッションフルーツなどのトロピカルな果実の風味を感じる。とても美味しい!
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和食にもいいし、タイやベトナムなどのアジア料理にも合いそうだ。
西村さんは代表の幸山さんが始めたレシピを引き継ぎながら、独自の感性をプラスして素晴らしいワインを作っている。
「ワイン作りの喜びは、ブレンドしてよくできたとき。その結果としてワインの品評会で評価されるのはとてもうれしいですね。」
そして、地元熊本の人たちに日常的に飲んでもらえるとうれしいとも。
「熊本ワインの白は、辛子蓮根に合うし、赤は馬刺しに合います。」
菊鹿ワインで辛子蓮根や馬刺しなどの熊本名産をぜひ楽しみたい。
ちなみに熊本市北区にある西里醸造所には、ワインバーがあり、菊鹿ワインなどのワインをテイスティングして買うことができる。producer_07_0182producer_07_Chardonnay_03producer_07_Chardonnay_04
また、ぶどうの生産地、山鹿に建つ菊鹿ワイナリーは、雄大な自然の中、菊鹿ワインと山鹿の美食を楽しめるレストランやカフェなどが充実している。producer_07_Chardonnay_05producer_07_Chardonnay_06
ナパヴァレーのワイナリーに行ったような気持ちの良さなので、余裕があれば、ぜひ足を伸ばして行きたいところだ。
「或る列車」でオーダーできるワインは、菊鹿ワインである。乗車した時に、菊鹿ワインを迷わずいただいた。九州産の野菜や魚介、地鶏などを使った成澤シェフのNARISAWA”bento”の料理にも、同じく九州産のフルーツなどを使った4種のデザートともとても合う。この珠玉のワインを、ぜひ楽しんでいただきたいと思う。
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