搾りたての生乳を最高級の生クリームやチーズにする神技
福岡県・オーム乳業
~生産者さんを訪ねる その19~

2020.4.3

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オーム乳業は福岡県大牟田市の一角に工場を構える創業85年の老舗である。
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大牟田市は福岡県の南端にあり、隣接する熊本県荒尾市には、酪農家が多いという立地だ。
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「大牟田市は昔、三池炭鉱があって栄えた土地。オーム乳業は地域の酪農家が出資して、昭和9年に牛乳の生産からスタートした会社です。次第に牛乳主体から生クリーム主体のビジネスに変えました。工場近郊の酪農家さんから、生乳が短時間で直接工場に運ばれてきて、生クリームなどの乳製品を作れる。
これが美味しさのポイントですね。ロットが小さいので、生乳が入ったら作るという『近い』を生かした生産設備がよかったんです。」と清木場社長。
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お話を伺っている会議室に、グラスに入った牛乳が何種類か並べられた。と、思ったら、なんと、生クリームだという。乳脂肪分35、38、40、42、48%と5種類の濃度があり、そのうちの35%と48%の2種類が並々とグラスに注がれていた。
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生クリームをそのまま飲む機会はないし、また、飲めるものではないと思っていた。しかし、いったん口をつけると、極上のなめらかなミルク!口に残るような重さはなくて、本当に軽やかだ。特に濃くて飲むのは無理そうと思った48%の濃いクレーム・ソワニエは、ミルキー感があるのにスッと喉を通る。なんて美味しいのだろう。これなら飲める!producer_19_2940
このあと、続々とフロマージュ・ブラン、マスカルポーネ、クリームチーズ、ヨーグルト、と出してくださったのだが、そのどれもが上質で軽やか。
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三つ星レストランで有名なカンテサンスの岸田シェフ、「或る列車」のメニューを作っている成澤シェフも太鼓判を押し、こちらの商品を愛用しているという。生クリームを飲めることからわかる、納得の味わいだ。
なんで同じ牛乳でこんなに美味しい製品ができるのだろう?
工場長の山口さんに伺うと「いい材料と腕があればこういう商品はできます。(笑)規模が小さいので手をかけるところは丁寧に、また工夫を重ねて作っているからでしょうか。」
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工場を見学させていただく。なんて整然としていて、清潔な工場なんだろう。producer_19_2715
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スタッフの皆さんが、いいものを作ろうという思いで総力をあげて作業しているのを、目の当たりにした。聞けば、スタッフ達が常に話し合い、よりよいものを作るアイデアを出しあって作業しているという。そういう空気を工場見学で実感した。
現在は、プロ仕様で業務用に販売しているものが多い。が、今後は直接お客様に届くような商品作りをやっていきたいとも。
それで開発された一つがフランスのMOFのメゾンモンスと共同開発したヨーグルト。
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開発に2年をかけ、乳酸菌はメゾンモンスと同じ仕様のものを使っている。プレーンの他に、ブルーベリー、イチゴ、西洋すもも、アプリコットのジャムのソースも添えた。こちらは東京の高級スーパーなどで取り扱っている。
味見させていただくと、まろやかでとても美味しい。朝食にもいいけれど、デザートとしても素敵だなと思った。
これからも消費者のニーズに合わせたハイエンドな商品を作っていきたいというお話から、まだまだ伸び代の高さを感じた。
そのほかに、バター好きとしては耳よりな話で、ブール・ド・ソワニエ(発酵バター)も有名シェフにアドバイスをいただきながら開発中とか。
「今、毎日30~40トンの生乳を、主に半径50km圏内の酪農家さんからいただいています。こちらも休めないので、たまには牛も休んでくれないかなと思いますが(笑)、無駄にできないので日々加工に精を出しています。」とスタッフの方たちがちょっとユーモアを交えてコメントしてくれた。日々休みなく乳を出す牛たちに感謝と愛情がなければ、こういう話は出てこないだろう。この精神が美味しいものを生み出す一番大事なカギなのだと思う。
後日、乳製品各種を送っていただき、どういただいたら美味しいかをあれこれ試した。
コクのあるクリームチーズは、梅干しのハチミツ漬けにこの上なく合う。このまま酒の肴や、オードブルにぴったりだ。
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フロマージュ・ブランは、雑穀入りのクラッカーに塗り、グリーンペッパーを添えるとワインに合う。
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マスカルポーネは、イチゴやキンカンなどのフルーツ、砕いたメランゲと合わせると素敵なデザートになった。producer_19_3030
改めて、オーム乳業さんの乳製品の実力を思い知らされた。
生クリームやチーズ、ヨーグルトは、90名の社員の方達が丁寧に作っている。「或る列車」のスウィーツは、そういう生産者さんの地道な努力に支えられて、至福の時間を与えてくれている。
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JR九州 或る列車ツアーデスク

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